前回は自分でおしゃれな表紙をつくるためのツールの紹介と必要最低限の知識についてご説明しました。
今回の記事ではいよいよ作業に取り掛かっていきます!
前回の記事はコチラ。
印刷所と本の仕様を選定する
早速編集に移りたいところですが、表紙を作成する前に印刷所と表紙の仕様を決めておかないとそもそも表紙がつくれません。
印刷所によっては指定のフォーマットが用意されていたり、表紙と裏表紙を1枚のデータに統合したくるみ表紙をつくる場合、ページ数の増減や使用する紙の種類によって厚さが変わるので背幅サイズが定まらない、といった事態が発生します。
後から変更が生じて表紙も最初から作り直し…なんてことにならないためにも、最低限以下の項目は決めておきましょう。
表紙のベースとなる画像・写真を探す
印刷所と仕様が決まったら、まずはタイトルのイメージに合わせた画像を見繕うところから始めましょう。
今の時代、無料でハイクオリティな画像素材を取り扱っているサイトはたくさんありますが、注意点があります。
同人誌は本なので、当然ながら表紙と裏表紙があります。
表紙と裏表紙で別々の画像を使う場合は2枚用意する必要がありますし、表紙と裏表紙をまたがって1枚の画像を使う場合は横幅も考慮した画像を使う必要があります。
そして、素材配布サイトは同人誌の使用は許可していても、R-18本には使えない…ということがありますので、各サイトの利用規約は念入りに読みましょう。
なお、以下の記事でR-18本でも使用できる写真素材サイトも紹介していますので参考にしてみて下さい!
かんたん表紙メーカーで完成イメージをつかむ
画像を用意して、タイトルはこう配置して…とイメージができている場合は飛ばしてしまって構いませんが、フォントはどうしよう…?いざ配置してみたけどイマイチ…という場合もありますので、一旦かんたん表紙メーカーを使って完成イメージをつくっておく事をオススメします。
今回は黒背景をベースに夜景の写真を敷き、細字のゴシック体フォント『IBM Plex Sans JP Thin』と右端上から2段目の『4行横(特大)』を参考に作っていきたいと思います。
なお、かんたん表紙メーカーさんはロゴのみであれば印刷にも耐えうる高解像度のデータで出力できます。
イメージでつくったロゴをそのまま使いたい場合はDLしておきます。
メディバンペイントで編集する
ここにきてようやく作業取り掛かれます。
ここではiPad版で説明しますが、操作方法はPC版もスマホでも大きな違いはありません。
フォーマットを一から作成する方法と、印刷所のフォーマットをDLして作成する方法を説明します。
フォーマットを作成する
メディバンペイントのアプリを立ち上げ、ログインをします。
『新しいキャンバス』→『新規作成』をタップすると、以下の画面が出てきます。
プリセット:本の完成サイズを指定します。ここではA5の本を想定しています。
原稿用紙サイズ・外枠・内枠・塗り足し:デフォルトのままで大丈夫です。プリセットを指定すると自動で入力されます。
その他:表紙をつくるだけであれば解像度は『350』、初期レイヤーは『カラーレイヤー』、背景色は『白』を推奨です。見開き/くるみ表紙は表紙と裏表紙を一つのファイルで作成する場合はONにします。背表紙幅は各印刷所にページ数と背幅の早見表だったり計算ツールがあると思いますので、それを参考に入力しましょう。
今回はくるみ表紙、背幅は8mmで作成しました。
印刷所のフォーマットを使用する
印刷所からフォーマットをDLしたら、『新しいキャンバス』→『他のアプリからインポート』を選択し、保存したフォーマットを指定します。
細かい設定はそのままで作業ができるので簡単ですね。
ちなみにこれはSTARBOOKSさんのテンプレートをお借りしました。
画像を貼り付ける
レイヤーウィンドウの『+』をタップすると、新規レイヤーを追加することができますが、ここは『画像を選択して追加』を選びます。
画像を取り込むと、位置や大きさを指定できます。
拡大もできますが、拡大の割合が大きければ大きいほど画像がぼやけてしまうのでオススメしません。
写真の大きさが足りない場合は、あえて空白を残したデザインにするか、大きな写真をDLし直すなどの対処をしましょう。
画像を取り込み、画像の一つ下のレイヤーを黒で塗りつぶしました。
今回、表紙は余白を残しつつ、裏表紙の2/5くらいまで写真がかかるくらいの配置にしてみました。
文字を入れる
フォーマットを新規でつくった場合、印刷可能範囲は一番外側の線になります。
内側の四角は、本文を作成する際に見切れたら困る文字や絵を中に入れるようにするためのものなので、表紙をつくる時は気にしなくても大丈夫です。
とはいえ見開き原稿でつくると中心がわかりにくいので、写真も文字も内側の線に沿って配置しました。
タイトルがドン!と大きく目立っていますが、実は他にも文字を入れています(端末によっては文字が潰れてしまっているかもしれませんが…)
以下に必要最低限入れるべきものを箇条書きにしてみました。
完成しました!
今回は図形を加えたりなど凝ったことはせず、文字を入れるだけに留めておきました。
それでもいい感じに仕上がったのではないかと思います!
入稿データ作成
完成したので、入稿用のデータを出力していきます。
CMYKカラーへ変換
ここからはPCの作業になります。CMYKカラー変換はiPad・スマホ版では対応していません。
メニューから『表示』→『カラーマネジメント設定』を開きます。
RGBプロファイル・CMYKプロファイルはお使いのPC・入稿予定の印刷所によって設定が変わるので、メディバンペイントの公式サイトを参照して適切なものを選択してください。
※筆者はMacユーザなのでMacでの設定を適用しています
公式サイトに入稿予定の印刷所が入ってない!印刷所のHPを見てもどれを選べばいいのかわからない!といった場合、筆者は『Japan Color 2001 Coated』を使用しています。よく使われているプロファイルなので、完成とのイメージがくずれる確率が低くなります。
PSDファイル出力
『ファイル』→『書き出し(CMYK形式PSD)』を選び、保存します。
ここで書き出ししたPSDファイルはレイヤーが統合されるので、元のファイルは別名で残しておくことをオススメします!
統合されたデータしか残っていないと、あとから文字を追加したり、印刷所から指摘が入った際に修正が難しくなってしまします。
まとめ
今回、メインの画像を決めてから文字入れのプレビューをしていましたが、もちろん逆でも構いません。
メディバンの使い方に慣れたら図形ツールやペンツールで書き足したり、加工したりなどにもチャレンジしてみてください。ペイントツールは奥が深いです。
以下の記事では、文字の加工方法の組み合わせることによってよりそれっぽい表紙をつくる方法をご紹介しています!
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